◆ちょっと昔のコラム(82年当時のコラムです。)


ヤンキースとスタインブレナー



今でも球界に多大な影響力を持つ、
名門ニューヨーク・ヤンキースのジョージ・スタインブレナー・オーナー。

1930.7.4日に造船会社の御曹司として生まれました。

プロバスケットボールのオーナーを経て、1972年にヤンキースを買収。

金も口もだすオーナーとして超有名です。


74年にまず、キャットフィッシュ・ハンターを5年375万ドルで加入させ、
地区4位と低迷したためラルフ・ハウクからビル・バードンに監督交代。

バードンは2位まで引き上げたが、
翌75年不振ですぐに解任。後任はビリー・マーチン。

マーチンは76年に見事に地区優勝します。

77年はさらに上を目指しミスター・オクトーバーのレジー・ジャクソンを獲得。
この年は念願の世界一に輝きます。

これにはオーナーもご満悦で、しばし監督人事はお休み。

翌78年はチームは好調だったにも監督人事が勃発。
監督のマーチンが主砲のジャクソンとスタインブレナーと激しく対立して解任。

後任のボブ・レモンがうまくチームを導き2年連続の世界一に。

79年に不振におちいると、途端にレモンを解任してマーチンを呼び戻しました。

この時点で8年間で4回のクビ切りで6人目の監督を迎えたことになります。

さあ、これからがスタインブレナーの本領発揮となります。


前年世界一になったボブ・レモンでしたが、
79年途中、就任わずか1年足らずで成績不振を理由にクビ。

その後任にはレモンの前任者のビリー・マーチン。(あれだけ怒ってたのに、何故?)
マーチンも4位で閉幕後にすぐクビ(だから、いったのに)、
ディック・ハウザーを据える。

スタインブレナーという方は、
人の好き嫌いも激しいらしいのですが、
ベースボールはこよなく愛しているのは事実らしく
我がチームが強くなるなら、なりふり構わないということらしいのです。


80年、期待のハウザーは地区優勝したものの
ロイヤルズに負けてリーグ制覇出来ずにクビ(信じられなーい!)。

優勝してもクビ、しなくてもクビ。
ほとんど異常な世界なんですが、
ヤンキースの監督は皆引き受けるんですね(魅力満点?)。

スタインブレナー(ヒットラーかフセインか?)
の下で働くのって快適?地獄?

それは、当事者たちに聞かなければわかりませんが。


1981年を任されたのはジーン・マイケル。
さらに、破格の10年200万ドルで
デイブ・ウインフィールドを獲得して強力打線を作った。

この年はストライキのために変則シーズンとなり前後期制に。

前期は1位だったが後期に成績が芳しくないとみるや
悪の強権発動。

79年にクビにしたボブ・レモンを呼び戻す。

ミニ・プレーオフ(今でいうディビジョン・シリーズ)は、
後期1位のブリューワーズと対戦。
なんとか3勝2敗でものにしてALCS(リーグ選手権)へ。

ALCSは、ロイヤルズをスイープしてきたアスレチックス。
ヤンキースがスイープしてワールドシリーズへ。

対するは77、78年の2連覇した時の相手の
ロサンジェルス・ドジャース。
 

1,2戦を地元で連勝したヤンキースに
悪の親玉は世界一を確信していたに違いなかったが、
現実はそう甘くなかった。。。

なんと屈辱の2連勝4連敗であっさり大逆転のドンデン返し。

唖然とする悪の親玉が目に浮かぶようでありました。

そして、前代未聞の82年シーズンに突入します。


さぞ悔しい思いだったに違いない悪の親玉は。。。。。

1981年の悔しさを胸に「悪の帝王」は考えた。

「そうだ!チームを変えねば」と。。。。。

何を思ったか
“走るチーム”に変えようとひらめいた(?)

まず、「ミスター・オクトーバー」のレジー・ジャクソンを
「きさまの時代は終ったよ」といい放ち放出。

そして『大金』をはたいて
シンシナチ・レッズから
ケン・グリフィー・シニア、デイブ・コリンズを加入させる。

これで思惑どおりと考えたか
ヤンキースの「ブロンクス・ボマーズ」のニックネームを
「ブロンクス・バンターズ」(!?)に『本気』で変えたかったらしい。
(この人は本当にわからん!)

他球団よりも先にマイコン導入の最新トレーニングマシンも入れ
スプリングキャンプも異例の2週間も早くスタートして
順調の筈だった。

しかし、現実は机上の推論通りにはいかない。

「今季はまかせるよ」といったばかりの開幕14試合目。

まず、「まかせる」といわれたばかりのボブ・レモンのクビを切る。

だが、チームの士気は上がるどころか下がる一方に。

我慢出来ない「悪の帝王」は8月には
今季2人目のジーン・マイケルもクビにして
前代未聞の1シーズン3人目のクライド・キングに監督をさせた。

なんと10年間で9回のクビを切り、そのうち3人は出戻り監督だった。

ベースボールを、ヤンキースを愛しているから何をしても許されるのか。。。。
(それとも、お金持ちだから???)

まあ、良きにつ悪しきにつけ、
話題になることだけは確なようで。。。。。

ゴタゴタ続きで最下位を逃れるのがやっとの状態で
「○○○がアホやから。。。」(日本の球界でこんなことを言った人がいた)
という声があちこちからあがったのでした。

あるスポーツライターはこう言ってます。

「スタインブレナーという男は、
ユニフォームにSTEINBRENNERとどぎつく染めあげて
9個のポジションを一人で自作自演するヤツだ」と。

しかし、彼自身は悪気はこれっぽちもなく
仕事においては部下や仲間に目一杯の努力を強いる向きがあるらしい。

よって彼の要求が高過ぎたときには
逆噴射状態(82年シーズン)になってしまうのだ。

とにかく、好き嫌いは激しい。
後先を考えずに手をうつこともよくあるということ。

やはり、坊ちゃんだからでしょうか。


最後に彼の名誉のために一つ。

ある仕事で空港へ着いたところ、
秘書に取らせたはずの席が取れていない。

すぐに秘書に電話「君はクビだ!」

秘書は翌日も平気で出社。

そこでスタインブレナーは
「君とご主人のためにリゾートホテルを1週間とっておいた。
私のささやかなおごりだよ」とな。

これって、いい人?それとも。。。。。

まあ、スタインブレナーはいつになってもスタインブレナーということで。
(お、おちない。。。。)


  大リーグファン必見のDVD(絶対オススメ★★★★★
   →MAJOR LEAGUE BASEBALL 球史に輝く名場面30選